自由

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」と紀貫之が『土佐日記』の冒頭に書いたのはもう1000年以上も昔のこと。 なぜ女としたのかはさておき、昔話みたいな昔から男は女のふりして本書いたりしてるんだし、未来みたいな2020年に生きている…

好きな人について

帰りの駅のホームで見かける人。 40代くらいの小柄な女性。 いつも電車を待つ列で何かを食べている。 ポテトチップスだったりメロンパンだったり。 でも先日はコーラを飲んでいた。 私は買い食いしている人が好きだから、いつも心で「わかるー!わかるー!帰…

愛が重い

友人の赤ちゃんに初めて会った。 可愛い。 まだ喋れない。 ふとした瞬間に、私の目をじっと見つめることがあったので都度「なに?私の愛が足りないの?私の愛が欲しいの?」と言って愛を授けてたんだけど、一度その言葉のあとに「ウザい」と自認したら「大概…

上京

上京した時の話。引越しの手伝いに来ていた母と近所を散策していたら、電話ボックスで怒鳴っているおじさんがいた。その電話本当に繋がっている?と思いながら通り過ぎる。途中で追い抜かれる。おじさんが道の花壇にある低いポール状の柵を綱渡りのように歩…

成人式

振袖に全然興味がなくて着たくなかったから母に着なくていいか聞いたら、いいって言うから安心していた。可愛いワンピースを買っておめかしして成人式に出ていいって言ってくれて楽しみにしてた。でも皆が成人式の準備始める頃になると母が「振袖決めなきゃ…

あいしてる

昔、2ちゃんねるに「愛してるよ」とかそんな風な文言だけ(定型文があった気がするけど忘れた)を書き込むスレッドがあって、書き込んだこともあるんだけど今も存在しているだろうか。 見ているだけでもとても心が落ち着く場所だった。 知らない人が「愛して…

雨の夜に思い出すこと。

冬。雨の夜中に傘がなくて、どしゃ降りでもないし帰るだけだしまぁいいかと歩いていたら声をかけられた。 「よかったらこれ。ぼくの家ここなんで」 と、スーツ姿の中年男性。 そう、その人は民家の駐車場で傘を差して突っ立っていた。 夜中に自宅の駐車場で…

黄泉の国

お正月。めでたい雰囲気につられてか黄泉の国から帰って来たみたいな人たちが街に結構いる。大丈夫か。駅と電車は空いている。電車は混み過ぎていても空いていても生気を失ってしまって、このまま黄泉の国に連れて行かれそうだといつも思う。ほどよい乗車率…

エイリアンズ(だいぶ前に書いた感想文)

キリンジの「エイリアンズ」が好きで寝るときによく聴くんだけど、最近気がついた。 この曲が寝るときに合ってるのって夜の曲だからじゃん!!! 深夜から夜更けにかけてを歌っているもの、暗闇との相性ばっちりだよね。 まどろんだ印象のイントロも夜の曲だ…

怖い話

夏だから不思議な話を。五歳くらいのとき小さい手を見た。夜、パジャマを取りに行ったら窓に子供の手が貼り付いてた。不思議に思ったままタンスからパジャマを出して、もう一度窓を見たらその手は消えてて、自分の手の影かと思って試してみたけど同じにはな…

ジョーク

子どもの頃、来客中にキャンディーを喉に詰まらせて死にそうになったことがある。 母の近くでゴロゴロしながらキャンディー食べてたらスポッと喉の奥に… 母が私を逆さにして必死で背中叩いてキャンディー取ってくれたよ。 本当に母は必死で、私は苦しいなが…

母性や父性

数年前、横浜の赤レンガ倉庫で40〜50代の男性カップル(一方が女装)が赤ちゃんを連れていて「養子かー」と思ってたんだけど、近づいたときによく見たら人形だった。 赤ちゃんじゃなかった。 赤ちゃんの人形だった。 生きてなかった。 同性カップルが子供を…