上京

上京した時の話。
引越しの手伝いに来ていた母と近所を散策していたら、電話ボックスで怒鳴っているおじさんがいた。
その電話本当に繋がっている?と思いながら通り過ぎる。
途中で追い抜かれる。
おじさんが道の花壇にある低いポール状の柵を綱渡りのように歩く。
やばい。
怖くなって母と手を繋いだ。

はやくおじさんと進む道が分かれますように。
少し進むと自転車が捨てられていて、おじさんが吟味を始めた。
持って帰るつもりか。
片手でひょいと自転車を持ち上げた。
乗らずに!?担いで持ち帰る…?
と思った瞬間
自転車を投擲した。
あー怖い。
はやくはやくおじさんと進む道が分かれますように。
進む道におじさんがいなくなって安心した帰り道、路地からおじさんが現れた。