自由

「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」と紀貫之が『土佐日記』の冒頭に書いたのはもう1000年以上も昔のこと。

なぜ女としたのかはさておき、昔話みたいな昔から男は女のふりして本書いたりしてるんだし、未来みたいな2020年に生きている女の私も男みたいに化粧とかせず繁華街行っちゃおバカやろと思って最近はすっぴんで買い物行ってる。

色々コンプレックスあるから出かける時は化粧をしてるっていう事実だけですっぴんよりずっと安心できるけど、化粧面倒だし落とすのはもっと面倒だから歯をくいしばってすっぴんで出かける。

とか言っておきながら、スーパー銭湯行くときはすっぴんで電車乗るのだって平気だし、それが正解とすら思ってるんだから買い物行くのだってすっぴんで当然平気なはずなんだよ。

それなのに化粧しない理由が違うだけで他人からは区別もつかないことに対して正解とか不正解とか安心とか不安とかを勝手に作り出す。

だって銭湯の帰りに買い物に行くのであれば化粧をしないといけないと思うけど、銭湯行く途中に買い物が挟んであれば絶対平気ですっぴんで買い物するんだよ私は。なんだそれ。本当に。目的と手段を理解できてないのかな?

化粧してないことは同じなのに…

別に知らない人間が化粧せずに歩いてたって誰も責めないし、そもそも見てない。見てたところですぐに忘れる。化粧はおろかこんなご時世なのにマスクしてたかどうかすら記憶しない。他人なんて全員のっぺらぼう。興味がない。なのにどうして見られていると思うのか。自意識過剰。無駄。

賢く潔くなりたい。

 

賢く潔くなりたい!

好きな人について

帰りの駅のホームで見かける人。

40代くらいの小柄な女性。

いつも電車を待つ列で何かを食べている。

ポテトチップスだったりメロンパンだったり。

でも先日はコーラを飲んでいた。

私は買い食いしている人が好きだから、いつも心で「わかるー!わかるー!帰り道お腹空くよねー我慢できないよね〜美味しい!?話しかけたい!友達になりたい!」と思っている。

食べ物のチョイスがいい。

この人が家に帰ったら誰かが待っていて、笑って過ごしているといいなといつも思っている。

愛が重い

友人の赤ちゃんに初めて会った。

可愛い。

まだ喋れない。

ふとした瞬間に、私の目をじっと見つめることがあったので都度「なに?私の愛が足りないの?私の愛が欲しいの?」と言って愛を授けてたんだけど、一度その言葉のあとに「ウザい」と自認したら「大概だよ」と言われた。

私の愛は押し付けがましく重い。

子供には愛が必要だと思うのだけど、表現の仕方がどうも間違っているよう。

健やかに愛をたくさん持って育ちますように。

上京

上京した時の話。
引越しの手伝いに来ていた母と近所を散策していたら、電話ボックスで怒鳴っているおじさんがいた。
その電話本当に繋がっている?と思いながら通り過ぎる。
途中で追い抜かれる。
おじさんが道の花壇にある低いポール状の柵を綱渡りのように歩く。
やばい。
怖くなって母と手を繋いだ。

はやくおじさんと進む道が分かれますように。
少し進むと自転車が捨てられていて、おじさんが吟味を始めた。
持って帰るつもりか。
片手でひょいと自転車を持ち上げた。
乗らずに!?担いで持ち帰る…?
と思った瞬間
自転車を投擲した。
あー怖い。
はやくはやくおじさんと進む道が分かれますように。
進む道におじさんがいなくなって安心した帰り道、路地からおじさんが現れた。

成人式

振袖に全然興味がなくて着たくなかったから母に着なくていいか聞いたら、いいって言うから安心していた。
可愛いワンピースを買っておめかしして成人式に出ていいって言ってくれて楽しみにしてた。
でも皆が成人式の準備始める頃になると母が「振袖決めなきゃね」って言い出して「着なくていいって言ったじゃん!着ないよ!」って言うと怒鳴られて結局、成人式は振袖着た。
全然気に入ってもない周りが選んだ振袖。
写真も撮ったけど一度も見ていないし、今でもどうして振袖着なきゃいけなかったんだろうって思う。

男の人はスーツだったり袴だったりするのにね。
可愛いワンピース着て出たかった。
でもきっと成人式は自分のためにあるんじゃなくて、家族のためにあるんだから仕方ない。

あいしてる

昔、2ちゃんねるに「愛してるよ」とかそんな風な文言だけ(定型文があった気がするけど忘れた)を書き込むスレッドがあって、書き込んだこともあるんだけど今も存在しているだろうか。

見ているだけでもとても心が落ち着く場所だった。

知らない人が「愛してる」って書き込んでるだけなのにね。

みんな心穏やかに過ごせたらいいなと思ったりしていた。

愛は尊い。

 

雨の夜に思い出すこと。

冬。雨の夜中に傘がなくて、どしゃ降りでもないし帰るだけだしまぁいいかと歩いていたら声をかけられた。

「よかったらこれ。ぼくの家ここなんで」

と、スーツ姿の中年男性。

そう、その人は民家の駐車場で傘を差して突っ立っていた。

夜中に自宅の駐車場で傘を差し、車の横に立っているスーツ姿の男性。

事情が全くわからない。

誰かを待っていたのか。

あの冷たい雨の中、傘を差してわざわざ外で待つってどんな事情だろう。

車もあるし、家もあるのに。

大人しい物言いが余計に不気味で傘を断って帰宅した。

あの傘を受け取っていたらどうなっていたのかなー。

何もないだろうけど、数年経った今あの人は幽霊だったんじゃないかと思うほど怖い。

だってやっぱりおかしいじゃないの。